地中海の神々
地中海・・・この言葉を聞いただけで、何か私たちの心を打つものがある。
ダリウスは、この蒼い地中海を渡って、神々のいる島、コルシカへと旅立った。
美しく、野性的な島、コルシカ。
そこに彼の夢がある。古代ギリシアの神々が吹く二本笛のやさしい音色が、ぎびしい現実を忘れさせ、私たちは、愛と平和に身をゆだねる。
そうだ、私たちはこれを望んでいたのだ。
私がダリウスにパリで出会ったのはいつだったろう?
暗い大きなアトリエは外部の色彩や音を遮断して自己の世界を造り上げるのに適している。
「地中海の神々」が生まれたのはここだったろうか・・・。
二本笛のやさしい音色に誘われて、私も行こう、ダリウスの青色のコルシカへと・・・。
作家 朝吹 登水子